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穴の底

時間は待ってくれない。
稽古が続くと毎回痛感する感覚がこれである。

劇団桟敷童子の副座長、原口健太郎さんが、うんうんと客席真ん中で唸りながら、私たちにディレクションしてくださる。
劇団一の会の、この若造達に。
御自ら舞台に立って、お手本を示してくださる。それぞれにあった演出をつけてくださる。

今回、ダブルキャストの為に、物語は2種類の進み方をする。
劇団の要・大平原也と、負けず嫌い(と、本人が言っていた)の泉川萌生ペア。
そして皆の兄ちゃん・児玉尚幸と、私ことちゃらんぽらんのせつ子ペア。

ただでさえ、ご本人が出演する舞台の演出、というだけでも大変なことなのに、ダブルキャスト、合わせて4人分。
それぞれの違った演者の演出も見なければならない。

若造の私にも、その大変さくらいはわかる。
そんな大変な稽古の中、ちゃらんぽらんのせつ子。
やらかしまくった。
稽古をするたびに、考えていった演技とは違った心情になる。
本番まで時間がない中、そろそろ固めていきたい時期なのに、せつ子の中の役が、ブレにブレ、ズレにズレまくる。
まずい。
非常にまずい。

穴があったら入りたい、と思うようなグダっとした演技を見せてしまったとき、原口さんの顔が見れない。


それでも、原口さんは、絶対に、絶対に。否定しない。
「その考え、合ってるんだよね」
そう必ず肯定した上で、方向修正をしてくださる。


穴があったら入りたい。
そう思っても、時間は待ってくれない。
原口健太郎さんの演出に、応えられるようになりたい。
それを、来てくださる皆さんに、お見せしたい。


途中、動きのあるシーンがある。
ネットの動画で確認しながら動きを伝えると、
「動きの指導、頼むね。先生」
と笑って私に言う原口さん。

動画の動きをそのまま見せただけなのだけれど、本当に、原口さんは周りに笑顔を見せてくれる人だと感じた。
原口さんは、穴の底から「はい、よいしょー」と笑って引っ張りだしてくださるのだ。

本番までに、演技であの笑顔が見れるように、最後の最後まで、穴の底から自力で這い上がる。



『裏切り』

劇団一の会第42回公演まで

あと1週間。

author:劇団一の会, category:-, 00:21
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